面接で、こう聞かれます。
「日本での生活で、大変だったことは何ですか」
この質問に、多くの学生が戸惑います。
「困っていると言ったら、印象が悪くなるのでは?」 「『特にありません』と答えたほうがいいのでは?」
どちらも、間違いです。
この質問には、明確な意図があります。それを知れば、答え方が見えてきます。
この質問の意図
大学が確認したいのは、次の3つです。
1. 日本での生活に、適応できているか
留学生にとって、日本での生活は簡単ではありません。言語、文化、習慣——すべてが違います。
大学は、あなたがその環境に適応できているかを知りたいのです。
2. 問題が起きたとき、どう対処するか
これが、最も重要なポイントです。
大変なことがあったこと自体は、問題ではありません。
大学が見ているのは、「その困難に、どう対処したか」です。
3. 正直な人柄か
「特にありません」と答える学生には、大学は不安を感じます。
本当に何もなかったのか。それとも、正直に話していないのか。
「特にありません」が、最悪の答えである理由
多くの学生が、こう答えたくなります。
「特に大変なことはありませんでした」
これは、最も評価されない答えです。
理由は3つあります。
理由1:うそに聞こえる
日本での生活が、まったく大変でなかった留学生は、ほぼ存在しません。
言葉が通じない。文化が違う。家族がいない。生活のルールがわからない。
これらを経験していない留学生は、いません。
「特にありません」と言えば、「正直に話していない」と受け取られます。
理由2:質問の意図を理解していない
この質問は、あなたの弱点を探すための質問ではありません。
問題解決の力を見るための質問です。
「特にありません」と答えることは、その機会を自分から捨てているのと同じです。
理由3:アピールの機会を失う
この質問は、実はチャンスです。
困難を乗り越えた話は、あなたの強さを示す最高の材料になります。それを、自分から手放してはいけません。
答えの組み立て方
答えは、次の3段階で組み立ててください。
① 何が大変だったか(事実) ↓ ② どう対処したか(行動)★最重要 ↓ ③ 今はどうなったか / 何を学んだか(結果)
②が、この答えの核心です。
①だけで終わると、ただの「苦労話」になります。それでは、何も伝わりません。
①で話す内容:正直に、具体的に
大変だったことは、正直に話してください。
留学生が経験する困難の例を挙げます。
- 言葉の壁(授業についていけない、敬語が難しい)
- 生活の立ち上げ(銀行口座、携帯電話、住居の契約)
- 文化・習慣の違い(ゴミの分別、人間関係の距離感)
- 孤独感(家族と離れた、友人ができない)
- 勉強とアルバイトの両立
- 経済的な不安
どれも、恥ずかしいことではありません。多くの留学生が経験しています。
具体的に話すことが大切です。 「日本語が難しかったです」より、「日本語学校の先生の話は理解できるのに、コンビニでアルバイトを始めたら、お客様の言葉がまったく聞き取れませんでした」のほうが、はるかに伝わります。
②で話す内容:ここが勝負
「どう対処したか」を、必ず話してください。
これが、この質問の答えの中心です。
考えるヒントを挙げます。
- 誰かに相談したか(先生、友人、先輩、家族)
- 自分で何を工夫したか
- どんな行動を起こしたか
- どのくらいの期間、続けたか
行動が語れる学生は、強いです。
なぜなら、大学はこう考えるからです。
「この学生は、大学生活でも同じように対処できるだろう」
これが、この質問の本当の目的です。
③で話す内容:成長を示す
最後に、今はどうなったかを話してください。
- 問題は解決したのか
- 完全には解決していなくても、改善したのか
- その経験から、何を学んだのか
完全に解決していなくても構いません。
「今も苦労していますが、○○を続けることで、少しずつ改善しています」
これでも、十分に評価されます。大切なのは、努力を続けていることです。
話してはいけないこと
いくつか、注意点があります。
❌ 日本や日本人への不満で終わる
「日本人は冷たいです」 「日本のルールは厳しすぎます」
これは避けてください。
文化の違いに戸惑ったことを話すのは構いません。しかし、不満で終わると、「適応する気がない学生」に見えます。
「最初は戸惑いましたが、理由を知って理解できるようになりました」
このように、理解に向かう姿勢を示してください。
❌ 解決策がない愚痴になる
「お金がなくて大変です」で終わる。
これでは、「入学後も同じ問題が続くのでは」という不安を与えます。
必ず、「どう対処しているか」まで話してください。
❌ アルバイトの苦労話に終始する
「アルバイトが忙しくて、勉強する時間がありません」
これは、非常に危険です。
大学は、「学業よりアルバイト中心になっている学生」を心配しています。
アルバイトの話をするなら、「学業と両立するために、どう工夫しているか」をセットで話してください。
この質問は、あなたの味方です
最後に、覚えておいてほしいことがあります。
この質問は、あなたを落とすための質問ではありません。
むしろ、あなたの強さを示すチャンスです。
日本に来て、慣れない環境で、言葉も通じない中で、それでもここまで来た。
それは、簡単なことではありません。
その経験を、正直に、そして「どう乗り越えたか」とともに話してください。
困難を乗り越えた学生は、大学生活でも乗り越えられる。
面接官が聞きたいのは、その証拠です。
まとめ
- 「特にありません」は、最も評価されない答え
- 大学が見ているのは、「どう対処したか」
- 答えの流れは、何が大変だったか → どう対処したか → 今はどうか
- ②「どう対処したか」が、この答えの核心
- 具体的に話す(「日本語が難しい」より具体的なエピソードを)
- 日本への不満で終わらない。理解に向かう姿勢を示す
- アルバイトの苦労話は、学業との両立の工夫とセットで
この質問は、あなたの強さを見せる場です。
正直に、そして前向きに答えてください。
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※この記事について
- 本記事で紹介する内容は、大学の入試業務を通じて見てきた傾向をもとにしています。
- 面接の質問・評価の基準は大学によって異なり、合格を保証するものではありません。
- 具体的な選考方法は、必ず各大学の募集要項を確認してください。