留学生の面接で、ほぼ確実に聞かれる質問があります。
「なぜ日本に留学しようと思いましたか」
簡単そうに見えます。自分のことですから、答えられないはずがない。
しかし、この質問で失敗する学生は、非常に多いのです。
この記事では、この質問の本当の意図と、答え方の考え方を説明します。
この質問の意図
まず、面接官が何を確かめようとしているのかを知ってください。
大学が確認したいのは、次の1点です。
「なぜ、母国ではなく、日本で学ぶ必要があるのか」
もう少し正確に言えば、こうです。
「感情的な理由だけになっていないか」
ここが、この質問のすべてです。
最も多い失敗:「日本が好きだから」
この質問に対して、多くの学生がこう答えます。
「日本のアニメが好きで、日本に興味を持ちました」 「日本の文化がすばらしいと思ったからです」 「日本の技術力に憧れています」
すべて、答えになっていません。
なぜなら、これらの理由では、日本に来る必要はあっても、日本の大学に入る必要がないからです。
アニメが好きなら、旅行で来られます。文化を体験したいなら、日本語学校で足ります。
大学に入る理由が、どこにもありません。
面接官の頭に浮かぶのは、この疑問です。
「この学生は、旅行に来たいのか。学問を学びに来たのか」
「日本が好き」を否定しているわけではない
誤解しないでください。
日本が好きなこと。アニメがきっかけであること。それ自体は、まったく問題ありません。
多くの留学生が、そこから日本に興味を持ちました。自然なことです。
問題は、そこで終わっていることです。
「日本が好き」は、出発点です。面接で語るべきなのは、そこから先です。
答えに必要な2つの要素
この質問に強く答えるには、次の2つが必要です。
要素1:日本でなければならない「学術的」または「職業的」な理由
「なぜ、母国の大学ではダメなのか」
この問いに答えてください。
考えるヒントを挙げます。
- その分野で、日本が進んでいる(研究水準・技術・制度など)
- 日本にしかない事例や制度を、直接学べる
- 日本と母国を比較することに、意味がある
- 将来、日本と母国をつなぐ仕事をしたい(職業的な理由)
たとえば、こう考えてみてください。
「日本は、アジアの中で最も早く高齢化に直面した国です。その中で作られた制度を、直接学びたい」
これは、日本でなければならない理由です。母国では学べません。
要素2:その理由と、自分の経験のつながり
理由だけでは足りません。なぜ、あなたがそれを学びたいのか。
ここで、自分の経験が必要になります。
- 母国で、何を見たのか
- そのとき、何を感じたのか
- どんな疑問が生まれたのか
この経験があって、初めて「あなたが日本に来る理由」になります。
答えの組み立て方
答えは、次の流れで組み立ててください。
① 経験・きっかけ 母国で何を見たか、何を感じたか ② そこから生まれた問い なぜだろう、と思ったこと ③ その問いに答えるには、日本で学ぶ必要がある なぜ母国ではなく日本なのか ④ だから、日本の大学に来た
①→②→③→④が、1本の線でつながっているか。 これが評価の分かれ目です。
「日本が好き」から始めてもいい
ここで、実践的なアドバイスをします。
「日本が好きです」から話を始めること自体は、問題ありません。
大切なのは、そこで止まらないことです。
❌ 止まっている 「日本が好きです。だから留学しました」 ⭕ 前に進んでいる 「日本のアニメがきっかけで日本に興味を持ちました。 見ているうちに、同じ作品が母国と日本で 受け取られ方が違うことに気づきました。 なぜ同じ作品の評価が国によって変わるのか。 その疑問から、メディアと文化の関係を学問として 研究したいと考えるようになりました」
後者は、「好き」が「問い」に変わっています。 そして、その問いに答えるために大学が必要になっています。
これが、答えるべき内容です。
掘り下げられる質問に備える
この質問に答えたあと、面接官は必ず掘り下げてきます。
想定される質問を挙げます。
- 「なぜ、母国の大学ではダメなのですか」
- 「その分野なら、他の国でも学べるのではないですか」
- 「日本語で授業を受けることに、不安はありませんか」
これらに答えられるように、準備してください。
特に「なぜ母国の大学ではダメなのか」は、この質問の核心です。ここに答えられないと、「日本に来た理由」を説明できていないことになります。
正直であることを、恐れないでください
最後に、大切なことを言います。
「実は、家族に勧められて日本に来ました」 「母国の大学入試に失敗して、日本を選びました」
そういう学生も、たくさんいます。
うそをつく必要はありません。ただし、そこで終わらないでください。
きっかけがどうであれ、いま、あなたはここにいます。 そして、日本の大学を志望しています。
「なぜ、いま、この学びを選ぶのか」
この問いに、自分の言葉で答えられれば、きっかけは問題になりません。
大学が知りたいのは、過去の事情ではなく、これからの意志です。
まとめ
- この質問の意図は、「日本で学ぶ必要性」の確認
- 「日本が好き」だけでは、大学に入る理由にならない
- 必要なのは、学術的・職業的な理由と、自分の経験とのつながり
- 答えの流れは、経験 → 問い → 日本で学ぶ必要性 → 大学
- 「なぜ母国の大学ではダメなのか」に必ず答えられるように
- きっかけが何であれ、「これからの意志」を語ればよい
この質問は、面接の序盤で聞かれます。
ここでしっかり答えられると、その後の面接全体が、いい流れになります。
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※この記事について
- 本記事で紹介する内容は、大学の入試業務を通じて見てきた傾向をもとにしています。
- 面接の質問・評価の基準は大学によって異なり、合格を保証するものではありません。
- 具体的な選考方法は、必ず各大学の募集要項を確認してください。