留学生の志望理由書を読んでいると、こんな書き出しに何度も出会います。
「私は小さいころから日本が好きでした」 「日本のアニメを見て、日本に興味を持ちました」 「日本の文化はすばらしいと思います」
正直な気持ちだと思います。うそではないでしょう。
それでも、この書き方をした志望理由書は、評価されにくいのです。
この記事では、その理由と、では何を書けばいいのかを説明します。
「好き」は志望理由にならない
まず、はっきりさせておきます。
日本が好きなこと。アニメや漫画が好きなこと。それ自体は、まったく悪いことではありません。多くの留学生が、そこから日本に興味を持ちました。
問題は、それを志望理由書の「理由」にしてしまうことです。
審査する側は、志望理由書を読みながら、こう考えます。
「この学生は、旅行に来たいのだろうか。それとも、学問を学びに来たのだろうか」
これが、すべてです。
日本が好きなだけなら、旅行で来られます。日本語を学びたいだけなら、日本語学校で足ります。アニメが好きなだけなら、母国でも見られます。
大学に入る必要が、どこにもありません。
大学は、学問を研究する場所です。「なぜ大学で学ぶ必要があるのか」に答えていない志望理由書は、大学への志望理由書になっていないのです。
審査側が感じる「不安」
もう少し、審査する側の頭の中をのぞいてみましょう。
「日本が好きです」で終わる志望理由書を読んだとき、審査担当者は次のような不安を持ちます。
- 入学したあと、本当に学び続けられるだろうか
- 学問への意欲があるのか、伝わってこない
- 勉強が難しくなったとき、やめてしまわないだろうか
大学にとって、途中でやめてしまう学生を入学させることは、大きな問題です。だからこそ、「この学生は学問への意欲がある」と確信できる根拠を探しています。
「日本が好き」は、その根拠になりません。
アニメ・漫画・ゲームの場合も同じ
「アニメがきっかけで日本に興味を持ちました」
これも非常に多いパターンです。そして、同じ理由で評価されません。
趣味やエンターテインメントへの興味は、学問を学ぶ必要性の説明になっていないからです。
「サブカルチャーが好き」ということと、「日本の大学でこの学問を学ぶ必要がある」ということは、まったく別の話です。審査する側には、「大学での学問への関心・準備ができていない学生」という印象を与えてしまいます。
では、どう直せばいいのか
ここが本題です。
1. 「好き」を消す必要はない。そこで終わらないこと
よくある誤解ですが、「日本が好き」と書いてはいけない、という話ではありません。
書いてもいいのです。ただし、導入の一言にとどめてください。
そして、その先に進む。進む先は、次の問いへの答えです。
「なぜ、日本で、この学問を学ぶ必要があるのか」
2. 「好き」から「問い」へ
趣味がきっかけになること自体は、自然なことです。大切なのは、そこからどんな問いや関心が生まれたかです。
例で考えてみましょう。
❌ 止まっている例 「日本のアニメが好きです。だからメディア学部を志望します」
⭕ 前に進んでいる例(考え方の流れ) アニメを見ていた → 同じ作品が母国と日本で受け取られ方が違うことに気づいた → なぜ同じ作品の評価が国によって変わるのか、疑問を持った → メディアと文化の関係を学問として研究したい → そのために、メディア学部で学ぶ必要がある
違いがわかるでしょうか。
後者は、「好き」が問いに変わっています。そして、その問いに答えるために大学が必要になっています。これが、志望理由です。
3. 学問的な言葉、または職業的な理由につなげる
「好き」から進んだ先は、次のどちらかに着地させてください。
- 学問的な理由:「この現象を、○○学の視点から研究したい」
- 職業的な理由:「この分野の専門家になり、○○の仕事をしたい」
どちらでも構いません。大切なのは、感情ではなく、目的で終わることです。
自分の志望理由書を確認する3つの質問
いま書いている志望理由書を読み返して、次の3つを自問してください。
- 「好き」で始まって、「好き」で終わっていないか
- 「なぜ大学で学ぶ必要があるのか」に答えているか
- この内容を、旅行や日本語学校では実現できないと言えるか
3つとも「はい」と言えるなら、大丈夫です。1つでも「いいえ」があるなら、まだ直せる余地があります。
まとめ
「日本が好き」は、あなたの出発点です。
出発点であることは、まったく問題ありません。多くの留学生が、そこから日本に来ました。
しかし、志望理由書に書くべきなのは、出発点ではなく、目的地です。
好きという気持ちが、どんな問いに変わったのか。その問いに答えるために、なぜこの大学のこの学部が必要なのか。それを書けたとき、志望理由書は「落ちる書類」から「合格する書類」に変わります。
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