「日本語は間違っていないのに、なぜか受からない」
留学生入試の現場で働いていると、こういう相談をよく受けます。日本語学校の先生に文法を直してもらい、誤字もない。それでも不合格になる。
理由は、ほとんどの場合、日本語ではありません。志望理由書の「中身」です。
この記事では、大学の入試の現場で実際に見てきた「落ちやすい志望理由書」の特徴を15パターン紹介します。まずは、自分の志望理由書がいくつ当てはまるかを数えてみてください。
大学は志望理由書で何を見ているのか
15パターンを見る前に、審査する側が何を確認しているかを知っておいてください。ここがわからないと、「なぜダメなのか」が理解できません。
大学の審査担当者は、志望理由書を読むとき、次の5つの問いを持っています。
- この学生は、本当にこの大学・この学部で学ぶ必要があるのか
- 入学したあとも、学ぶ意欲を持ち続けられるか
- 書かれている内容を、面接で自分の言葉で話せるか
- どの大学にも出せる内容ではないか
- 母国での経験が、学びにどうつながっているか
この5つに「はい」と答えられない志望理由書が、落ちやすい志望理由書です。
ここで大切なことが1つあります。EJUやJLPTのスコアは「入学の資格」を示すもので、「入学の理由」を示すものではありません。 スコアが高くても不合格になることはありますし、スコアがそれほど高くなくても合格することはあります。その差を生むのが、志望理由書と面接です。
落ちやすい志望理由書 15パターン
実際によく見るパターンを、15個挙げます。
- 「日本が好きです」だけで終わっている
- アニメ・漫画・ゲームなど、趣味だけが理由になっている
- 「有名な大学だから」「就職に有利だから」だけ
- 大学名だけを変えれば、そのまま使える内容になっている
- 将来の目標が大きすぎる・ぼんやりしすぎている
- 経済学部と経営学部の違いがわかっていない
- 教員の名前だけを書いて、研究内容を理解していない
- 志望する学部では学べない内容を書いている
- 母国での経験が、学びにつながっていない
- アルバイトや生活の話が中心になっている
- 先生に直してもらった文章や、AIが作った文章をそのまま出している
- 将来の進路と、学部の学びがつながっていない
- 大学のパンフレットの表現を、そのまま使っている
- 大げさに書きすぎて、本人らしさが見えない
- 志望理由書と面接の答えが、ずれている
いくつ当てはまりましたか。
「1つも当てはまらない」という人は、ほとんどいません。多くの学生が、3つも4つも当てはまります。それが普通です。大切なのは、気づいて直すことです。
ここからは、特に多い3つを、くわしく説明します。
NG①「日本が好きです」だけで終わっている
最も多いパターンです。
「小さいころから日本が好きでした」「日本の文化に興味があります」——このように書き始める志望理由書は、毎年たくさんあります。
なぜ評価されないのか。
日本への好意は、「なぜこの大学・この学部で学ぶのか」の答えになっていないからです。
審査する側は、こう考えます。「この学生は、旅行に来たいのだろうか。それとも、学問を学びに来たのだろうか」
日本が好きなだけなら、旅行でも、日本語学校でも、留学でも目的は達成できます。大学に入る必要がありません。 そこが問題なのです。
では、どうすればいいのか。
日本への好意を書くこと自体は、悪いことではありません。問題は、そこで終わっていることです。
「日本が好き」を導入の一言にとどめて、その先に進んでください。進む先は、「なぜ日本で、この学問を学ぶ必要があるのか」という理由です。学問的な理由、あるいは将来の仕事につながる理由。そこまで書いて、はじめて志望理由になります。
NG④ 大学名だけを変えれば、そのまま使える内容になっている
これも非常に多いパターンです。
A大学にも、B大学にも、C大学にも、同じ文章を出せてしまう。大学の名前の部分だけを書き換えれば、そのまま使える。そんな志望理由書です。
なぜ評価されないのか。
審査する側は、すぐに気づきます。「この志望理由書には、うちの大学のことが何も書かれていない」
大学固有の情報が1つも入っていない志望理由書は、「どの大学でもいい」というメッセージになってしまいます。本気で自分の大学を志望しているとは思われません。
では、どうすればいいのか。
その大学でなければ成立しない情報を、必ず1つか2つは入れてください。
たとえば、実際にある授業の名前。研究している教員の名前と、その研究内容。その大学だけの特別なプログラム。学部の特色。こうした情報は、大学の公式サイトで調べれば必ず見つかります。
調べれば書ける。調べなければ書けない。 それだけの違いです。
NG⑪ 先生に直してもらった文章や、AIが作った文章をそのまま出している
近年、特に増えているパターンです。
なぜ問題なのか。
理由は2つあります。
1つめは、面接で答えられなくなることです。日本の留学生入試では、志望理由書と面接がセットになっています。面接官は、志望理由書を読みながら質問します。「ここに書いてある○○について、もう少し説明してください」
自分で書いていない文章は、説明できません。その瞬間に、書類と本人が別人であることが伝わってしまいます。
2つめは、文章が「きれいすぎる」ことが、かえって不自然に見える場合があることです。日本語学校に通っている学生が、日本人でも書けないような硬い日本語を書いている。審査する側は、その違和感に気づきます。
では、どうすればいいのか。
先生に見てもらうこと自体は、まったく問題ありません。むしろ推奨します。
大切なのは、「内容は自分で考える。日本語だけを直してもらう」という順序です。中身まで先生に作ってもらった時点で、それはあなたの志望理由書ではなくなります。
15パターンのうち、いくつ当てはまりましたか
残りの12パターンも、それぞれ落ちる理由があります。
- NG②〜③:趣味や大学の知名度を理由にしてしまう問題
- NG⑤〜⑧:学部の理解が足りず、学びたいことと学部が合っていない問題
- NG⑨〜⑩:母国での経験や日本での生活が、学びにつながっていない問題
- NG⑫〜⑮:将来の進路、パンフレットの引き写し、大げさな表現、面接とのずれ
どれも、気づけば直せるものばかりです。逆に言えば、気づかないまま提出すると、日本語がどれだけ正しくても評価されません。
まとめ:直す順番
もし今、自分の志望理由書に不安があるなら、次の順番で確認してください。
- 「この大学でなければならない理由」が書いてあるか(NG③④⑦⑬)
- 学部で学ぶ内容を、正しく理解しているか(NG⑥⑧⑫)
- 自分自身の経験・視点が書いてあるか(NG①②⑨⑩⑭)
- 将来の目標と、学びがつながっているか(NG⑤⑫)
- 書いた内容を、面接で自分の言葉で話せるか(NG⑪⑮)
この5つに自信を持って「はい」と言えるようになれば、志望理由書は大きく変わります。
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この記事の内容を、もっとくわしく知りたい方へ
日本の大学に合格する 志望理由書の書き方
「日本語は正しいのに、なぜか受からない」。
その理由は、日本語ではなく「中身」にあります。
入試の現場で見てきた「合格する人の書き方」を1冊にまとめました。
- 落ちやすい志望理由書の特徴 15パターン
- 重要なNG例と、その改善例 10パターン
- 12の分野別 例文集
- 自分の志望理由書を書き上げるワーク 13種類
- 提出直前チェックリスト
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※この記事について
- 本記事で紹介する内容は、大学の入試業務を通じて見てきた傾向をもとにしています。
- 審査の基準は大学によって異なり、合格を保証するものではありません。
- 具体的な出願要件は、必ず各大学の募集要項を確認してください。