「貴学は日本でも有名な大学であり、伝統があります」 「この大学を卒業すれば、就職に有利だと考えました」
志望理由書に、こう書いていませんか。
正直な気持ちだと思います。うそではないでしょう。
有名な大学に行きたい。いい会社に入りたい。それは自然な願いです。多くの学生が、そう考えて大学を選んでいます。
しかし、これを志望理由書に書くと、評価されません。
なぜなのか。この記事で説明します。
「有名さ」は、志望理由になっていない
理由は、はっきりしています。
その理由が、他の大学にも当てはまってしまうからです。
考えてみてください。
「有名だから」——日本には有名な大学が何十校もあります。 「伝統があるから」——歴史の長い大学は、いくらでもあります。 「就職に有利だから」——就職実績のいい大学は、他にもたくさんあります。
つまり、これらの理由では、「なぜ、この大学なのか」にまったく答えていないのです。
審査する側は、こう思います。
「有名な大学ならどこでもよかったのでは?」
そう思われた時点で、この志望理由書は「うちの大学への志望理由書」ではなくなります。
大学が知りたいのは「学部の必要性」
もう1つ、重要な問題があります。
「有名だから」「就職に有利だから」という理由は、大学についての話です。
しかし、あなたが入るのは、大学であると同時に、学部です。
そして大学が最も知りたいのは、「なぜこの学部で学ぶ必要があるのか」です。
「有名な大学だから」という理由からは、学部を選んだ理由がまったく見えてきません。
「この大学に入りたい気持ちはわかった。でも、なぜ経済学部なのか?」
この問いに答えていない志望理由書は、審査する側に不安を残します。
就職の話をすると、なぜ印象が悪くなるのか
「就職に有利だから」という理由には、もう1つ問題があります。
大学は、学問を研究する場所です。就職予備校ではありません。
もちろん、就職を意識することは悪いことではありません。むしろ現実的です。大学も、卒業生の就職状況を気にしています。
しかし、志望理由書で「就職」を前面に出すと、こう受け取られます。
「この学生は、学問そのものには興味がないのではないか」 「大学を、就職のための道具だと考えているのではないか」
大学が入学させたいのは、学びたい学生です。就職したい学生ではありません。
「パンフレットの言葉」は、すぐバレる
もう1つ、よくある失敗があります。
大学のパンフレットや公式サイトのキャッチコピーを、そのまま志望理由書に書いてしまうケースです。
「貴学の『グローバル人材の育成』という理念に共感しました」 「『実践的な学び』を重視する教育方針に魅力を感じます」
審査する側には、すぐわかります。
なぜなら、その言葉を書いたのは、大学自身だからです。自分たちが作ったキャッチコピーを、そのまま返されて、感心する人はいません。
むしろ、「この学生は、パンフレットの表紙しか読んでいない」と思われます。
では、どうすればいいのか
ここからが本題です。
「有名だから」を、「調べたから」に変える
「有名な大学だから」と書きたくなったとき、代わりに具体的な情報を書いてください。
具体的な情報とは、次のようなものです。
- 実際にある授業の名前(シラバスを見れば載っています)
- 教員の名前と、その研究内容(教員紹介ページで調べられます)
- その大学だけの特別なプログラム
- 学部のカリキュラムの特徴
これらは、調べなければ書けません。 そして、調べれば必ず書けます。
「有名だから」と書く学生は、調べていない学生です。 具体的な情報を書く学生は、調べた学生です。
審査する側は、その差を見ています。
就職の話は、「学びの延長」として書く
就職の話を、まったく書いてはいけないわけではありません。
問題は、「就職のために大学に入る」という順序です。
正しい順序は、逆です。
❌ 就職に有利 → だからこの大学 ⭕ この学問を学びたい → その学びを活かして、こういう仕事をしたい
学びが先、仕事が後。この順序で書けば、就職の話をしても問題ありません。むしろ、学ぶ目的が明確になります。
自分の志望理由書をチェックする
いま書いている志望理由書を読み返して、次のテストをしてみてください。
「大学名の部分を、別の大学名に書き換えてみてください」
そのまま成立してしまうなら、その志望理由書は不合格の可能性が高いです。
成立しないなら——つまり、その大学でなければ意味が通らない情報が入っているなら——それは、合格に近づいている志望理由書です。
まとめ
- 「有名だから」「伝統があるから」「就職に有利だから」は、他の大学にも当てはまる
- だから、「なぜこの大学か」の答えになっていない
- 大学のパンフレットの言葉をそのまま使うと、調べていないことがバレる
- 代わりに書くべきは、授業名・教員名・プログラム名などの具体的な情報
- それらは、調べれば必ず書ける
有名な大学に行きたい気持ちは、隠す必要はありません。
しかし、それは志望理由書に書くことではないのです。
書くべきなのは、「この大学の、この学部で、この学問を学ぶ必要がある」という、あなただけの理由です。
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- 本記事で紹介する内容は、大学の入試業務を通じて見てきた傾向をもとにしています。
- 審査の基準は大学によって異なり、合格を保証するものではありません。
- 具体的な出願要件は、必ず各大学の募集要項を確認してください。