留学生入試では、複数の大学に出願するのが普通です。3校、5校、あるいはもっと。
そうすると、当然こう考えます。
「1つ書いて、大学名だけ変えて使い回せばいいのでは?」
時間もない。日本語で書くのは大変。気持ちはよくわかります。
しかし、この方法は、ほぼ確実に落ちます。
そして、多くの学生が、これをやっています。
使い回しは、必ず見抜かれる
「バレないのでは?」と思うかもしれません。
バレます。
理由は簡単です。大学固有の情報が、1つも入っていないからです。
審査する側は、毎年何百通もの志望理由書を読みます。その中で、次のような志望理由書は、すぐに目につきます。
- 大学の名前は書いてあるが、それ以外に大学の情報がない
- 授業名も、教員名も、プログラム名も出てこない
- 学部の一般的な説明しか書かれていない
- 「貴学の充実した教育環境に魅力を感じます」——どの大学にも言える
こういう志望理由書を読むと、審査担当者はこう考えます。
「この学生は、うちの大学のことを何も調べていない」
その瞬間、この志望理由書は「使い回し」だと判断されます。
審査側が受け取るメッセージ
使い回しの志望理由書が伝えているメッセージは、こうです。
「どの大学でもいいです。とりあえず出願しました」
書いた本人には、そんなつもりはないでしょう。しかし、書類はそう語っています。
大学は、本気で自分の大学を志望している学生を取りたいと思っています。「どこでもいい」と思っている学生を、優先して合格させる理由はありません。
複数の大学に出願すること自体は、まったく問題ありません。誰もが複数出願します。
問題は、その大学のことを調べていないことです。
なぜ「大学名を変えるだけ」では足りないのか
もう一度、志望理由書の目的を思い出してください。
志望理由書は、「なぜこの大学・この学部で学ぶ必要があるのか」を説明する書類です。
大学名を書き換えただけの志望理由書は、この問いに答えていません。
答えているのは、せいぜい次のことだけです。
- なぜ日本で学びたいか(→どの大学でも同じ)
- なぜこの分野に興味があるか(→どの大学でも同じ)
- 将来何をしたいか(→どの大学でも同じ)
これらは、確かに志望理由書に必要な要素です。しかし、核心が抜けています。
核心とは、「なぜ、この大学なのか」です。
見抜かれる、もう1つの理由
さらに、恐ろしいことがあります。
使い回しの志望理由書には、別の大学の名前が残っていることがあるのです。
複数の大学に出すために、コピーして一部だけ書き換える。その書き換えを忘れる。すると、A大学に提出した書類に、B大学の名前が残ります。
これは、実際に決して少なくないミスです。
こうなると、もはや「使い回しかもしれない」ではありません。使い回しであることが、証明されてしまいます。
そして、こう思われます。
「基本的な確認もできない学生」
内容を読む前に、印象が決まってしまいます。
では、どうすればいいのか
答えは、シンプルです。
使い回してよい部分と、してはいけない部分を分ける
現実的な話をしましょう。5校に出願するなら、5通をゼロから書くのは大変です。
そこで、構造を分けてください。
使い回せる部分(土台)
- なぜ日本で学びたいのか
- この分野に興味を持ったきっかけ
- 将来の目標
- 自分の経験・強み
これらは、大学が変わっても大きくは変わりません。土台として共通で使えます。
絶対に使い回してはいけない部分(核心)
- なぜ、この大学・この学部なのか
ここだけは、大学ごとに、ゼロから書いてください。
1校につき、2〜3時間の調査を
「なぜこの大学か」を書くためには、調べるしかありません。
- 学部の案内ページ
- カリキュラム・授業一覧
- シラバス(具体的な授業名を見つける)
- 教員紹介(研究内容まで確認する)
- アドミッション・ポリシー
これらを見て、その大学でなければ書けない情報を、最低1〜2個見つけてください。
1校あたり2〜3時間かかります。5校なら10〜15時間。決して少なくありません。
しかし、これから4年間通う大学です。その選択に10時間かけることは、多いでしょうか。
志望校を「絞る」という選択
現実的な提案をします。
10校に使い回しの志望理由書を出すより、3校に本気の志望理由書を出すほうが、合格の可能性は高いです。
出願校を増やせば、確率が上がると思うかもしれません。しかし、中身が空っぽの志望理由書を10通出しても、10回落ちるだけです。
「どの大学を、本気で受けるのか」
まずそれを決めてください。そして、決めた大学については、徹底的に調べてください。
自分の志望理由書をテストする方法
とても簡単なテストがあります。
志望理由書の中の大学名を、別の大学名に書き換えてみてください。
そのまま意味が通ってしまうなら、その志望理由書は「使い回し」です。 落ちる可能性が高いです。
意味が通らなくなるなら——つまり、その大学でなければ成立しない情報が入っているなら——大丈夫です。
このテストは、提出前に必ずやってください。30秒で終わります。
まとめ
- 使い回しの志望理由書は、必ず見抜かれる
- 見抜かれる理由は、大学固有の情報が1つもないから
- 別の大学名が残っていると、使い回しが証明されてしまう
- 使い回してよいのは土台部分。「なぜこの大学か」は大学ごとに書く
- 提出前に、大学名を書き換えるテストをする
大学は、あなたが複数出願していることを知っています。それを責めてはいません。
しかし、「うちの大学を調べてくれたかどうか」は、必ず見ています。
その2〜3時間が、合否を分けます。
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※この記事について
- 本記事で紹介する内容は、大学の入試業務を通じて見てきた傾向をもとにしています。
- 審査の基準は大学によって異なり、合格を保証するものではありません。
- 具体的な出願要件は、必ず各大学の募集要項を確認してください。