志望理由書の最後は、たいてい「将来の目標」で締めくくります。
そして、多くの留学生が、こう書きます。
「将来は、世界で活躍できる人材になりたいです」 「日本と母国の架け橋になりたいです」 「国際社会に貢献したいです」
立派な目標です。うそでもないでしょう。
しかし、この書き方では評価されません。
なぜなのか。この記事で説明します。
「大きい目標」は、何も言っていないのと同じ
まず、はっきり言います。
「世界で活躍したい」という文からは、何も伝わりません。
考えてみてください。
- どの分野で活躍するのか?
- どんな仕事をするのか?
- 誰のために、何をするのか?
すべて不明です。
審査する側は、この文を読んでも、あなたの未来を想像できません。想像できないものは、評価できません。
「架け橋になりたい」も同じです。何と何をつなぐのか。どうやってつなぐのか。 それが書かれていなければ、ただの美しい言葉です。
なぜ、それが問題なのか
「立派な目標なのだから、いいのでは?」
そう思うかもしれません。しかし、大学が心配するのは、次の点です。
心配1:学部の学びとのつながりが見えない
大学が最も知りたいのは、「なぜこの学部で学ぶ必要があるのか」です。
「世界平和に貢献したい」という目標は、あまりにも大きすぎて、どの学部とも結びつきません。
経済学部でも、法学部でも、教育学部でも、言えてしまいます。つまり、学部を選んだ理由の説明になっていないのです。
心配2:「具体性がない」=「考えていない」
審査する側は、こう受け取ります。
「この学生は、将来のことを深く考えていない」
厳しいようですが、事実です。本気で将来を考えている学生は、もっと具体的に語れます。
大きな言葉に逃げるのは、具体的に考えていないからである場合が多いのです。
心配3:入学後の学習意欲が伝わらない
目標が漠然としていると、大学で何を学ぶのかも漠然とします。
「世界で活躍するために、幅広く勉強します」
これでは、入学後の姿が見えません。大学は、明確な目的を持って学ぶ学生を求めています。
どこまで具体的にすればいいのか
では、どのレベルまで具体化すればいいのか。
目安は、次のとおりです。
「職種・業種・業務内容」まで書けているか。
理想は、こういうレベルです。
○○業界の、△△という職種で、 □□という仕事に携わりたい
たとえば、こう考えてみてください。
❌ 大きすぎる目標 「日本と母国の架け橋になりたい」
⭕ 具体化した目標(考え方の例)
- どの分野で架け橋になるのか? → ビジネス? 教育? 医療? 文化?
- どんな立場で? → 企業の社員? 起業? 公的機関?
- 具体的に何をする? → 日系企業の現地進出を支援? 通訳・翻訳? 教育プログラムの開発?
ここまで絞り込めると、「なぜこの学部で学ぶ必要があるか」が自動的に見えてきます。
具体化のための3つの質問
いま「大きすぎる目標」を書いてしまっている人は、自分に3つ質問してください。
質問1:「誰の、どんな問題を解決したいのか」
「世界平和」ではなく、「誰の、何を」。
母国の農村で介護サービスが足りない。都市と地方で教育格差がある。日系企業が現地の消費者を理解できていない。
具体的な問題が見えれば、目標は自然に具体化します。
質問2:「その問題を解決するために、どんな仕事があるか」
問題が見えたら、それを解決する仕事を調べてください。
大学の進路・就職情報のページが役に立ちます。その学部の卒業生が、実際にどんな仕事に就いているか。そこにヒントがあります。
質問3:「その仕事に就くために、何を学ぶ必要があるか」
ここまで来ると、学部で学ぶべきことが明確になります。
そして、これが志望理由書の「入学後に学びたいこと」の部分になります。
目標は「小さく」ではなく「具体的に」
誤解してほしくないのですが、目標を小さくしろと言っているのではありません。
大きな志を持つことは、素晴らしいことです。
言いたいのは、「大きな志を、具体的な形で語ってください」ということです。
「世界平和に貢献したい」という志を持っているなら、その第一歩として、何をするのか。それを書いてください。
大きな志と具体的な計画は、両立します。むしろ、本気の志を持っている人ほど、具体的な計画を持っています。
「まだ決まっていない」場合は、どうするか
正直に言えば、18歳や20歳で将来を完全に決めている人は、多くありません。
「まだはっきり決まっていない」——それでも構いません。
大切なのは、「いま考えている方向性を、具体的に語れること」です。
「まだ決めていません」と書くのではなく、「現時点では、○○の分野で△△の仕事をしたいと考えています。大学で学ぶ中で、より深く考えていきたいです」
こう書けば、考えていることと、学ぶ意欲の両方が伝わります。
まとめ
- 「世界で活躍したい」「架け橋になりたい」は、何も言っていないのと同じ
- 大きすぎる目標は、学部の学びとつながらない
- 審査側は「深く考えていない学生」と受け取る
- 目安は、職種・業種・業務内容まで具体化すること
- 「誰の、どんな問題を解決したいか」から考えると、具体化できる
- 決まっていなくても、いま考えている方向を具体的に語ればよい
大きな志は、素晴らしいものです。
しかし志望理由書に書くべきなのは、その志を実現するための、最初の一歩です。
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