「JLPTのN2に合格したので、大学に出願できますか」「EJUを受ければ、JLPTは必要ありませんか」。どちらも、受けたい大学の募集要項を確認して答える必要があります。
EJUとJLPTは、同じ試験ではありません。目的と内容の違いを知ったうえで、大学がどの成績を求めているかを確認しましょう。資格を持っていることと、志望校の出願条件を満たすことを分けて考えるのが出発点です。
EJUは日本語力と基礎学力を評価する試験
EJUは「日本留学試験」です。日本の大学の学部などへ進学を希望する外国人留学生について、日本語力と基礎学力を評価する目的で実施されます。
出題科目には、日本語、理科、総合科目、数学があります。自分の受けたい大学が指定する科目を選びます。全員が全科目を受験する仕組みではありません。JASSOの2026年度受験案内 PDF4~6ページ
日本語科目には文章を書く「記述」があります。また、理科や数学などをどの言語で受験するかにも、大学の指定が関係します。日本語の得点だけを見て準備を終えず、必要な科目を学部ごとに確認してください。
JLPTは日本語の能力を測る試験
JLPTは「日本語能力試験」です。N1からN5までのレベルがあり、日本語の言語知識、読む力、聞く力などを測ります。試験科目の構成はレベルによって異なります。JLPT公式の試験科目案内
たとえばN2では、言語知識・読解と聴解の試験があります。EJUの数学や理科に相当する試験を受けるものではありません。N2やN1の認定と、大学が求める基礎科目の成績は別の情報です。
また、JLPTの試験科目に、面接や文章を自分で書く試験は含まれていません。日本語の資格を持っていても、大学の面接や小論文には、それぞれの準備が必要です。
違いを整理する
| 比べる点 | EJU | JLPT |
|---|---|---|
| 主な目的 | 日本の大学等への進学に必要な日本語力・基礎学力の評価 | 日本語の能力の測定・認定 |
| 科目・レベル | 日本語、理科、総合科目、数学から大学の指定に従う | N1~N5から受験するレベルを選ぶ |
| 自分で文章を書く試験 | 日本語科目に記述がある | 試験科目に作文・記述の実技はない |
| 大学への利用 | 大学・学部・方式の指定を確認する | 大学・学部・方式の指定を確認する |
この表は試験の違いを整理するものです。「EJUの何点がJLPTのN2と同じ」という換算表ではありません。二つの成績を、自分で同じものとして扱わないでください。
募集要項では試験名の次まで読む
要項に「EJU」「JLPT」という言葉を見つけたら、次に条件の細かい部分を読みます。
EJUでは、必要科目、利用できる実施回、出題言語、得点の条件、成績の提出・照会方法を確認します。JLPTでは、必要なレベル、合格の条件、対象となる受験時期、証明書の種類と提出方法などを確認してください。
要項に「または」と書かれている場合と、両方が必要な場合では、準備が変わります。表の脚注や学部別の追加条件も含めて読んでください。英語など、別の外部試験が必要かも確認します。
分からないときは、学校の先生や大学の窓口に、要項の該当箇所を示して質問しましょう。「N2があります」だけでなく、「2027年度の○○学部△△入試について、この書類で条件を満たすか確認したい」と対象を伝えます。
出願資格として必要か 選考で使うかを分ける
試験の成績は、出願するための条件に使われる場合も、選考の資料として使われる場合もあります。要項のどの欄に書かれているかを確認してください。
「出願資格」に必要な条件があれば、準備の最初に確認します。一方、加点や参考資料などの説明がある場合は、どの資料をいつ出すかを、その大学の案内から確かめます。
札幌学院大学の2027年度要項では、独自の小論文・面接に加えて外部試験の成績を扱う説明があります。こうした仕組みも、他大学へそのまま当てはめることはできません。札幌学院大学要項のPDF2~3ページ
試験名が載っているだけで「この成績があれば合格する」「この試験は受けなくてよい」と判断しないようにしましょう。
手元の成績と大学の条件を照合する
確認は、大学の条件と自分の成績を左右に並べると進めやすくなります。次は、自分で記入するための整理例です。
| 確認すること | 大学の指定 | 自分の状況 |
|---|---|---|
| 試験と科目・レベル | 要項の表から転記 | 受験済み・受験予定を区別 |
| 実施年と回 | 利用できる回を書く | 成績資料の年と回を書く |
| 得点・合格の条件 | 記述の扱い等も確認 | 指定に合わせて照合 |
| 提出する資料 | 証明書・番号・送付方法 | 用意できる時期を書く |
空欄が残る場合は、出願準備のどこに不明点があるかが見えてきます。「条件が見つからない」と「条件がない」は同じではありません。資料の別ページや大学の追加案内も探してください。
次に受ける試験は志望校から考える
これから受験する人は、先に大学の条件を調べると、必要な科目や試験を決めやすくなります。名前を聞いたことがある試験から申し込んで、後で志望学部の指定と違うことに気づくのは避けたいところです。
併願を考えているなら、複数校の条件を一枚にまとめます。EJUの数学コースや理科の指定、JLPTの必要レベルなどに違いがあるかを確かめましょう。
試験の申込期間、受験日、成績の公表時期と、大学の出願日程も合わせて確認します。試験を受ける予定だけでは、出願条件を満たすことにならない場合があります。成績公表前に出願できるか、追加提出が認められるかは、大学の指定を確かめてください。
試験への申込みと大学出願は別の手続き
EJUやJLPTに申し込むことと、大学の入試に申し込むことも分けて管理します。試験を受けたあと、志望大学のWeb登録や書類提出を自動的に済ませてもらえるわけではありません。
予定表には、外部試験の申込・受験・成績公表と、大学の出願・選考を別々に書きましょう。名前が似た「受験番号」でも、外部試験の番号と大学の受験番号を取り違えないようにします。
資格証明書が必要な場合は、取得や送付の方法も確認してください。合格したことを画面で見られるだけで、大学が指定する証明資料を用意できたとは限りません。どの資料を提出するかが決まると、出願までの準備も具体的になります。
資格の勉強と大学で学ぶ準備
成績を振り返るときも、二つの試験の点数を一つの順位に並べるより、どの技能を練習したいかを考えてみましょう。読む、聞く、書く、説明するなど、自分が困っている場面を具体的にします。そのうえで、大学の過去問題や授業の紹介を見れば、次の学習で扱う内容を選びやすくなります。
試験対策と合わせて、日本語で説明する練習や、長い文章の要点を整理する練習も続けましょう。自分の関心や経験を、相手が分かる言葉で話すことは、面接の準備にもつながります。
学部の授業内容を調べ、知らない専門用語を少しずつ整理する方法もあります。資格だけを目標にするより、大学で何を学びたいかと結びつけて考えると、次に取り組むことが見つかります。
出願先は全国・地域別の留学生入試情報から探せます。大学の学びを調べるときは、志望大学の調べ方、面接準備の入口にはよく聞かれる質問の記事も使ってください。
※この記事について
確認日:2026年10月14日。試験の説明はJASSO・JLPTの公式資料によります。大学の例は2027年度要項です。出願条件や利用できる成績は大学・方式で異なるため、対象年度の公式要項を確認してください。