面接で、こう聞かれます。
「なぜ、この学部・学科を選びましたか」
「なぜ本学を志望しましたか」とよく似た質問に見えます。しかし、まったく別の質問です。
そして、この違いを理解していないために、同じことを二度答えてしまう学生が、非常に多いのです。
「なぜ本学か」と「なぜこの学部か」の違い
まず、ここを整理してください。
| 質問 | 何を聞いているか |
|---|---|
| なぜ本学を志望しましたか | 大学の選択理由(他大学との比較) |
| なぜこの学部を選びましたか | 学問分野の選択理由 |
つまり、こういうことです。
「なぜ本学か」は、「A大学ではなく、なぜB大学なのか」という質問です。
「なぜこの学部か」は、「経済学部ではなく、なぜ経営学部なのか」という質問です。
答えるべき内容は、まったく違います。
この質問の意図
大学が確認したいのは、次の2つです。
1. 学部の内容を、正しく理解しているか
これが最大のポイントです。
学部の名前だけで選んでいないか。実際にその学部で学べる内容を、知っているか。
2. 将来の目標と、つながっているか
その学部で学ぶことが、あなたの目標を実現するために必要か。
最も多い失敗:学部を理解していない
実際に非常に多いのが、学部の内容を誤解しているケースです。
代表的な例を挙げます。
例:経済学部と経営学部を混同している
「経済とビジネスに興味があるので、経済学部を志望します」
そう言う学生に、話を聞いてみると——実際にやりたいことは、経営学の内容だった。
- 経済学:社会・市場・政策を分析する学問
- 経営学:企業・組織をどう運営するかを学ぶ学問
まったく違います。
「日系企業のマーケティング戦略を研究したい」なら、それは経営学です。経済学部に行っても、思っていた勉強はできません。
この誤解は、面接ですぐに露呈します。
そして、こう思われます。
「この学生は、学部の選択が適切ではない」
これは、致命的です。入学しても、学びたいことが学べない。すると、意欲を失い、途中でやめてしまう可能性がある。大学は、そう考えます。
学部を「調べる」とは、どういうことか
学部を選ぶ前に、必ず次の3つを確認してください。
1. その学部で「学べること」と「学べないこと」
学部のカリキュラム・授業一覧を見てください。
そこに、あなたが学びたい科目はありますか。
「ある」なら、その学部で正解です。「ない」なら、学部選択を見直す必要があります。
2. その学部の「専門分野」
学部の中には、さらに細かい分野があります。
社会学部なら、都市社会学、家族社会学、メディア社会学……。教育学部なら、教育方法、比較教育、日本語教育……。
あなたが関心を持っているのは、どの分野ですか。
「社会学部で社会について学びます」では、答えになりません。
3. 似た学部との違い
- 経済学部と経営学部
- 社会学部と社会福祉学部
- 国際関係学部と外国語学部
似ているけれど違う学部は、たくさんあります。
その違いを説明できますか。 面接で聞かれることがあります。
答えの組み立て方
答えは、次の流れで組み立ててください。
① 自分の経験・問題意識 なぜ、この分野に関心を持ったのか ↓ ② その問いに答えるには、この学問が必要 なぜ、この学部でなければならないのか ↓ ③ 学部の中で、特にこの分野に関心がある 具体的な専門分野を挙げる ↓ ④ その学びが、将来の目標につながる
②が最重要です。 「なぜ、この学問なのか」を説明してください。
評価される答えと、されない答え
具体的に見てみましょう。
❌ 評価されない答え 「経営学部で、経営について勉強したいです」
——何も言っていません。 学部の名前を繰り返しているだけです。
❌ 評価されない答え 「ビジネスに興味があるからです」
——なぜ「学問として」学ぶ必要があるのかが不明です。 ビジネスに興味があるなら、働けばいい。大学に来る理由が説明されていません。
⭕ 評価される答えの構造
私は母国で、日本ブランドの製品が 価格が高くても選ばれ続けるのを見てきました。 ↓ なぜ、価格が高くても信頼されるのか。 これを感覚ではなく、理論として理解したいと考えました。 ↓ これは、消費者行動論やブランド戦略という、 経営学の分野で扱われるテーマです。 ↓ だから、経営学部で学ぶ必要があります。
「経験 → 問い → その問いは、この学問の問いである」
この流れができていれば、学部選択の理由として成立します。
「幅広く学びたい」は、答えにならない
もう1つ、よくある失敗があります。
「幅広い知識を身につけたいです」 「いろいろなことを学びたいです」
これは、答えになっていません。
なぜなら、「なぜこの学部か」の説明になっていないからです。幅広く学びたいなら、どの学部でも構わないことになります。
大学が知りたいのは、「この学部でなければならない理由」です。
掘り下げられる質問に備える
この質問のあと、面接官は掘り下げてきます。
- 「経済学部と経営学部の違いを、どう理解していますか」
- 「その学部で、具体的にどんな授業がありますか」
- 「他の学部でも学べるのではないですか」
これらは、学部を本当に理解しているかを確かめる質問です。
調べていれば答えられます。調べていなければ、答えられません。
まとめ
- 「なぜこの学部か」は、「なぜ本学か」とは別の質問
- 意図は、学部の内容を正しく理解しているかの確認
- 経済学部と経営学部の混同など、学部の誤解は致命的
- 学部のカリキュラム・専門分野・似た学部との違いを調べる
- 答えの流れは、経験 → 問い → その問いは、この学問の問いである
- 「幅広く学びたい」は答えにならない
学部選びは、大学選びより重要です。
間違った学部に入れば、4年間、学びたいことが学べません。
だからこそ、大学は真剣にこの質問をします。
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※この記事について
- 本記事で紹介する内容は、大学の入試業務を通じて見てきた傾向をもとにしています。
- 面接の質問・評価の基準は大学によって異なり、合格を保証するものではありません。
- 具体的な選考方法は、必ず各大学の募集要項を確認してください。