「日本語に自信がないから、先生に直してもらおう」
まったく正しい判断です。 ぜひ、そうしてください。
「ChatGPTに書いてもらえば、きれいな日本語になる」
これは、危険です。
同じ「他人の力を借りる」でも、この2つには決定的な違いがあります。
この記事では、その違いと、越えてはいけない一線について説明します。
面接で、すべてが明らかになる
まず、何が起きるかを見てください。
日本語が非常にきれいで、構成も完璧に整った志望理由書。
審査する側は、まず好印象を持ちます。「よく書けている」と。
そして、面接で本人に会います。志望理由書を読みながら、質問します。
「ここに書いてある○○について、もう少し説明してください」
答えられない。
沈黙が生まれます。あるいは、志望理由書に書いてあることと、まったく違うことを話し始めます。
その瞬間、審査する側は理解します。
「この志望理由書は、この学生が書いたものではない」
「バレない」と思っていませんか
「日本語を直してもらっただけなら、わからないだろう」
そう考える気持ちはわかります。しかし、わかります。
理由は2つあります。
理由1:文章と本人の日本語力に、差がありすぎる
日本語学校に通っている学生が、日本人でも書けないような硬く整った日本語を書いている。
そして、面接で話す日本語は、そのレベルに達していない。
この差が、すべてを物語ります。
理由2:面接で「なぜ」に答えられない
自分で考えて書いた文章なら、「なぜこう書いたのか」を説明できます。
他人が書いた文章は、説明できません。「なぜこの大学なのか」「なぜこの経験を書いたのか」——掘り下げられるほど、答えに詰まります。
生成AIの文章は、もっと簡単に見抜かれる
近年、増えているのが生成AI(ChatGPTなど)で書いた志望理由書です。
そして、これは先生に直してもらった文章より、さらに見抜かれやすいのです。
理由を説明します。
AIの文章の特徴:日本語は自然。しかし、中身が「一般的」
AIが書く志望理由書は、日本語としては自然です。文法も正しく、構成も整っています。
しかし、内容が、どの大学にも当てはまる一般的なものになりやすいのです。
- 「貴学の充実した教育環境で学びたい」
- 「グローバルな視野を身につけたい」
- 「幅広い知識を得て、社会に貢献したい」
どこにも、あなたがいません。
決定的に欠けているもの
AIの文章には、次の2つが入りません。
- 本人の経験(AIは、あなたが何を経験したか知りません)
- 本人だけの問題意識(AIは、あなたが何に疑問を持ったか知りません)
そして、この2つこそが、志望理由書で最も評価される部分なのです。
つまり、AIに書かせると、最も重要な部分が空っぽの志望理由書ができあがります。
日本語は完璧。中身はゼロ。審査する側から見れば、これほどわかりやすいものはありません。
大学が注意事項を定めている場合もある
もう1つ、知っておくべきことがあります。
大学によっては、生成AIの利用について注意事項を定めている場合があります。
出願書類の作成にAIを使うことを制限している大学もあります。募集要項を必ず確認してください。
ルールに違反すれば、それは単なる「評価が下がる」問題ではなくなります。
では、どこまでなら助けを借りていいのか
ここが本題です。
線引きは、はっきりしています。
⭕ 内容は自分で考える → 日本語だけを直してもらう ❌ 内容から他人(AI)に作ってもらう
この順序が、すべてです。
正しい使い方
- 自分で、内容を考える
- なぜこの大学なのか
- なぜこの学部なのか
- 自分のどの経験が、どうつながるのか
- 自分の日本語で、書いてみる
- 文法が不安でも構いません
- まず、書き切ってください
- 先生に見てもらう
- 「日本語として不自然なところを直してください」
- 「内容を変えないでください」と伝えてください
- 直された文章を、自分で読み返す
- なぜその言葉に直されたのか、理解する
- 理解できない表現があれば、質問する
- 説明できない言葉は、使わない
AIの、許される使い方
生成AIを完全に禁止する必要はありません。ただし、使い方を厳格に限定してください。
⭕ 使ってよい例
- 書いた文章の文法チェック
- 意味のわからない日本語の言葉の意味を調べる
- 自分の考えを整理するための壁打ち(質問に答えてもらう)
❌ 使ってはいけない例
- 志望理由書を書かせる
- 志望理由を考えさせる
- できた文章をそのまま提出する
判断基準は1つです。
「その文章を、面接で説明できるか」
説明できるなら、問題ありません。説明できないなら、それはあなたの文章ではありません。
「日本語が下手でも大丈夫」という事実
最後に、大切なことをお伝えします。
多少日本語が不自然でも、自分で考えて書いた志望理由書のほうが評価されます。
これは、きれいごとではありません。事実です。
審査する側が見ているのは、日本語の美しさではありません。中身です。
- この学生は、本当にこの大学で学びたいのか
- 自分の頭で考えているか
- 面接で、自分の言葉で話せるか
日本語の多少の不自然さは、これらを判断する妨げになりません。
むしろ、完璧すぎる日本語のほうが、疑いを招きます。
まとめ
- 先生に直してもらうこと自体は、まったく問題ない
- ただし、「内容は自分で考える。日本語だけ直してもらう」が絶対の原則
- 生成AIが書いた文章は、内容が一般的すぎて、すぐ見抜かれる
- AIには、あなたの経験と問題意識が書けない
- 大学によっては、生成AIの利用に注意事項がある(募集要項を確認)
- 判断基準は、「面接で説明できるか」
助けを借りることは、恥ではありません。
恥ずかしいのは、自分の志望理由を、自分で語れないことです。
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※この記事について
- 本記事で紹介する内容は、大学の入試業務を通じて見てきた傾向をもとにしています。
- 審査の基準は大学によって異なり、合格を保証するものではありません。
- 生成AIの利用に関するルールは大学により異なります。必ず各大学の募集要項を確認してください。